ドロバチについて

ドロバチは体長17 mm ほどで、泥や土を使って巣を作ることから、この名前がついています。おとなしい性格で攻撃性は低く、毒も弱いです。しかしその黒い体色はスズメバチとも似ており、見分けることが難しい蜂でもあります。この記事では、ドロバチの見分け方や生態について、またどのような時に駆除しなければいけないかについて、説明をします。

ドロバチとは

蜂駆除

ドロバチの見分け方

ドロバチは土や泥を使って軒下などに巣を作ります。一方オオスズメバチも木の根元や床下などの土の中に巣を作ります。どちらも土の中に巣を作ります。しかしドロバチの巣が一匹から2匹用の小規模なものであるのに対し、オオスズメバチの巣は数百匹が住み、直径30センチメートルにもなる大規模なものになります。
またドロバチの方が羽音が静かです。

ドロバチの特徴

その名の通り泥を集めて巣を作るために、ドロバチという名前がついています。体長は6 mm から18 mm ほどの小型から中型の蜂で、スズメバチなどのその他の蜂よりも小柄な体長が印象的です。
ドロバチは全体的に黒っぽく、腹部に黄色い線が2本入っています。種類によって多少の違いはありますが、ドロバチの仲間はだいたい共通した模様をしています。

ドロバチの生態

幼虫の頃は蛾の幼虫などの小さい虫を食べ、成虫になると花の蜜を食べます。成虫になるまでは、泥の巣の中で親の用意してくれた餌を食べながら成長し、春頃に成虫になると、巣に穴を開けて飛び立っていきます。
ドロバチは他の蜂のように育児をしません。産卵の際に大量の餌を巣の中に入れておき、幼虫はそれを食べて成長するため、エサやりなどの育児をする必要がないのです。ドロバチは群れを使って生活せず一匹で活動します。そのためドロバチの巣には働き蜂は存在せず、巣を防衛するという性質は持っていません。
ドロバチは7月から9月に活動が活発化し、その頃巣を作ります。幼虫の餌となる青虫を捕まえて巣の中に入れ、巣に産卵して巣の穴を塞ぎます。巣の中で幼虫は餌の青虫を食べ、蛹になって越冬し、春に羽化して飛び立つのです。
なお、ドロバチの活動時間は昼間になります。

ドロバチの攻撃性

ドロバチはスズメバチとは異なり、おとなしい性質の蜂で、スズメバチのように集団行動は取りません。巣づくりや子育ては単独で行い、そのため巣に近づくと攻撃するということもありません。スズメバチは、危険を察知するとフェロモンを発して仲間の蜂を呼び集団で攻撃をしてきますが、ドロバチはそのようなことはしません。
蜂なので毒針を持ってはいますが、威嚇や攻撃のために使うことはほとんどなく、針の毒性も低いと言われています。
つまり、害はほとんどないので、ドロバチは放置しておいても大丈夫です。ただしこちらから危害を加えようとすると、当然ですが反撃をしてきます。

ドロバチの巣の特徴

ドロバチは名前の由来の通り、泥を利用して巣を作ります。外敵の少ない場所に土や泥を運び入れ、1匹から2匹の小規模で行動しながら巣を形成します。中に、餌となる青虫を毒で麻痺させ生きたまま運び入れて、産卵を行います。その後、泥で入り口を塞ぐことで、外敵から巣を守ります。春になると羽化したドロバチが入口を破って外に飛び出します。泥の塊にひとつだけ穴が開いている場合は、ドロバチの巣である可能性が高いです。
ドロバチの巣は外側から見ると泥の塊のように見えます。泥の塊が地中にあるという意味ではオオスズメバチの巣と似ているのですが、ドロバチの巣のサイズは他の種類の蜂と比較しても小型の巣が多いです。逆に、土の中に大きなサイズの泥の塊がある時は、スズメバチの巣の可能性があるので、近寄らないようにしましょう。
ドロバチは地面の外側に巣を形成することが多く、人間の生活圏内では、家屋の軒先や床下、庭木の枝や植物の茎などにも巣を作る場合があります。もし家屋に古くなった泥の塊があれば、過去に使用されたドロバチの巣の可能性が高いです。巣は使い捨てにされ再利用されることはないので、泥の塊がいつまでも残っています。

オオスズメバチの巣の特徴

一方、オオスズメバチもドロバチと同じように地中に巣を作ります。ドロバチがおとなしく無害な蜂であるのに対して、オオスズメバチは蜂の中で最も凶暴で、毒性の強い蜂です。オオスズメバチは巣に近づくだけで攻撃してくるので、ドロバチの巣と見間違えてしまうと大変です。
地中から蜂が出入りしているという光景を見かけた時は、オオスズメバチの巣ができている可能性があります。付近には近づかずに、3メートル以上の距離を取るようにしましょう。土の中に作られたオオスズメバチの巣は、底が抜けた形の巣で、円盤状の巣が複数重なっており、巣穴の数が多いといった特徴を持ちます。

ドロバチを駆除するべきでしょうか?

蜂駆除

蜂の巣というと、その中にたくさんの働き蜂や幼虫やさなぎがいるというイメージがありますが、ドロバチの巣の中には、幼虫が一匹しかいません。ドロバチの成虫は土で作った巣の中に幼虫と幼虫を育てる餌を入れた後は、巣の入り口を塞いで、遅くても冬前には飛び立って行ってしまいます。また幼虫が孵化しても一匹だけで、大量に発生するということも、群れるということもありません。その危険度は小さく、巣に近づいた場合でも襲ってくることはありません。害虫を捕食してくれるため益虫でもあります。そのため、ドロバチの巣があっても、被害がなければ、駆除する必要はありません。基本的には、そのまま放っておくのが、安全な対処法といえるでしょう。

しかし、ドロバチ自体はおとなしくて刺されるリスクは低いのですが、ドロバチのデメリットは存在しています。
まず住環境の見た目が悪くなることであり、幼虫・成虫が出す糞尿や食べカスが他の虫を呼んでしまったり、場所によってはシミや劣化を招いてしまうことがあります。また、屋根裏や縁の下に巣ができた場合にカビやダニが住み着いてしまうことがあります。また低いながらも襲われる可能性もないわけではありません。
特に屋根裏にできた場合は、ダニやカビの温床になりやすく、不衛生だったり家屋へのダメージを与える場合がありますので、できれば駆除する方が良いです。

ドロバチの巣を駆除する方法

蜂駆除

ドロバチの巣を駆除する方法は、基本的には巣立った後に巣を取り除きます。しかし緊急の場合は、殺虫剤を使用して駆除することになります。

巣立った後の草を取り除く方法

ドロバチの巣の駆除は幼虫が孵化して出ていった後が良いでしょう。ドロバチは一度使った巣の再利用はしないため、育った後の巣に別のドロバチが住み着くということはありません。そのため巣立った後の巣は安全に取り除くことができます。
ドロバチに刺されてしまったという場合は、まだ巣立っていない状態の巣を駆除しようとして、中の成虫に刺されてしまうというケースが多いです。いくらドロバチがおとなしいと言っても、巣を壊したり駆除しようとすると刺してくるからです。
なお、ドロバチの巣は部屋が何個も重なってひとつの巣になっています。ひとつの山に一つの成虫がいるので、すべての山に穴があいているか必ず見てください。一つでもまだ穴のあいていない山があれば、まだ成虫がいますので、穴があくまで待ってください。

殺虫剤を使用する方法

もし急いで駆除を行いたい場合は、厚手の防護服で全身を覆い、殺虫剤を散布して駆除します。ドロバチは大人しい蜂ですが、巣に直接危害を加えると襲ってくることがありますので、防護服を着用しましょう。
巣の近くにいるドロバチに殺虫剤を噴射し、蜂が動かなくなるまで噴射し続けます。外にいる蜂を駆除できたら、巣穴に向かって殺虫剤をスプレーして中の蜂を殺します。しばらく経ってから、ヘラで巣の根元を削って巣を撤去します。最後に巣があった場所に殺虫剤をまいておきます。
ドロバチの巣は土や泥でできていますが、非常に硬くて壊すのが難しい場合がありますので、巣の撤去が困難な場合は、蜂の駆除業者に相談すると良いでしょう。